女性のAGA(女性男性型脱毛症・FAGA)とは? マイナビニュース

男性型脱毛症(AGA)は男性ホルモンが大きく影響している脱毛症で、特徴は異なりますが女性にも起こり得ます。女性の場合は、男性のAGAと区別するために「女性男性型脱毛症(FAGA=FemaleAGA)と呼ばれることがあります。

では、このAGAはどのようなメカニズムで起こるのでしょうか。

AGAのメカニズム
血液中を流れる男性ホルモン(テストステロン)は、毛根にある毛乳頭に入り込むと、5αリダクターゼ酵素によりジヒドロテストステロン(DHT)に変化します。このジヒドロテストステロン(DHT)が毛母細胞に入ると、毛母細胞の細胞分裂が活発に行なわれなくなり、発毛を妨げます。また毛周期が乱れて成長期が短くなるため髪が成長する前に抜けてしまい、抜け毛や薄毛の要因となります。

男性ホルモンがなぜ毛乳頭に入り込むかは、男性ホルモンを受け入れるレセプター(受容体)を持っているかどうかによります。そしてこのレセプターの有無は、遺伝によるものと考えられています。

なぜ女性がAGAに?
男性ホルモンの変性と毛母細胞への侵入が主な原因のAGA。女性とはあまり関係がないように思われますが、女性でもAGAは発症します。では、なぜ女性のAGA(FAGA)は発症するのでしょうか?

女性にも男性ホルモンが!?

女性の体内にも男性ホルモンは存在しています。男性ホルモンであるテストステロンやジヒドロテストステロンが体内で合成され毛髪に影響を及ぼすメカニズムは、男性と同じです。

それでは、なぜ男性のAGAと症状が違うのか。そのカギを握るのは女性ホルモンです。

女性ホルモンが髪を育てる

男性ホルモンのテストステロンが脱毛に影響を与えるのとは逆に、女性ホルモンであるエストロゲンには毛髪を育てる働きがあります。女性ホルモンの分泌が活発な若い女性は血中のテストステロンの濃度が男性の20分の1と少ないため、髪の毛への影響も少ないのです。

またエストロゲンの働きで髪が生え変わるサイクルが長くなるので、薄毛や抜け毛が起こったとしても、その進行は非常に緩やかで、ほとんど気になりません。

女性ホルモンの減少がFAGAの要因

女性ホルモンの分泌が盛んに行なわれていれば問題ないのですが、女性ホルモンは加齢と共に減少してしまいます。早い人では35歳前後から女性ホルモンの分泌量が減少してきます。その結果、男性ホルモンの影響によりAGAが発症するメカニズムが起こりやすくなります。

加齢以外に女性ホルモンが減少する原因には、ストレスや過度のダイエット、生活習慣の乱れなどが挙げられます。

AGAとFAGAの違い
女性のAGAを「FAGA」と呼び、男性のAGAと区別するには理由があります。

AGAとFAGAでは、脱毛のパターンが異なるのです。男性の場合は頭頂部と髪の生え際(前頭部)など局所的に薄くなるのが特徴ですが、FAGAは頭髪が細く弱まり全体的に薄くなります。

またAGAは進行性であるため放っておくと髪の毛が減り続けていきますが、FAGAではそのようなことはあまりありません。これは、女性ホルモンは減少するものの一定の量は分泌されるためです。

FAGAのように女性ホルモンが減少してホルモンバランスが乱れて起こる症状には、ホルモンバランスを整えることが大切です。大豆製品(イソフラボン)などの女性ホルモンを増やす食材を摂る、ストレスを減らすなど生活習慣の改善を心掛けましょう。

詳しくは、『女性に多い「びまん性脱毛症」の症状、原因と対処法』もご覧ください。

(この記事の監修:​ 聖心美容クリニック札幌院 院長 / 前多一彦 先生)

出展:http://news.mynavi.jp/news/2014/09/16/164/